話しかけるのさえ躊躇する







「起立、礼」



結局風紀委員を押し付けられた琉華ちゃんが、膨れっ面のまま号令をした。
私はそんな琉華ちゃんが面白くて仕方なくて、つい笑ってしまった。
それがバレたのか、琉華ちゃんが怒りながらこっちへ歩いてくる。



「ちょっと、!ありえないんだけど。二年連続だよ?またお前かよみたいな!」
「そんなに怒らなくても!まあ良いんじゃない?琉華ちゃん向いてるもん」
「向いてるとか、そう言う問題じゃないんだってば。あ〜めんどくさ…」
「じゃあ、専門委員会あるし行こっか」
「はいよ〜…じゃ、荷物取ってくる」



すっかり意気消沈してしまった琉華ちゃんを、後ろから見守る。
席が隣の切原くんにも散々からかわれてるみたい。
…琉華ちゃん、ご愁傷様。



「今年もきっと、真田先輩は風紀委員なんだろうなあ…」
「後、柳生先輩もじゃなかった?」
「そうそう!あの2人頼りになるんだけど、真田先輩…怖いし」
「そう?結構仲良さそうに見えたけど!」
「優しいときは優しいんだけど、厳しいって言うか…」
「その点柳生さんはいつでも優しいよね」
「そうそう!」



荷物を取って来た琉華ちゃんと他愛ない話をしながら、それぞれの集合場所へ。
私は美化委員だから、調理室へと向かった。
これ、帰宅部じゃなかったら相当めんどくさいよなあ…。
そんなことをのん気に考えながら、教室のドアを開けると、まだ少人数しか集まっていなかった。

私はD組だから…あ、C組の人と同じ班に座れば良いのか。
黒板に書いてある班分けを見て、私は自分の座るべき場所に目を移した。
すると、まさかとは思うけど、…綺麗な青髪の人が座っていた。
この学校で青い髪と言えば、私の知ってる限りでは一人しか居ない。

今、死にそうなくらい心臓が脈を打ってる。
駄目、期待して違う人だったら…ううん、あの人に決まってる…。
でも声かけないと…私の席だし、…。
無理無理無理!考えただけで…吐き気が、琉華ちゃん…助けて…!
、女は強気!が、頑張ります!
軽く咳払いをし、私は震える喉を必死に抑え、声を掛けた。



( あの、…。 )