02:ぴたりとひっつき。





弦一郎の部屋はいつ来ても外の気温と一緒。
夏はめちゃくちゃ暑いし、冬は冬でめちゃくちゃ寒い。
エアコンとかストーブつけたら良いのに、弦一郎はそう言うのが嫌いみたい。

今日は新しい春服を買って、弦一郎の家に行ったんだけど…。
外はまだ肌寒くて、弦一郎の部屋も肌寒かった。



「…寒い」
「だから、そんな薄着をするなと言っただろう。全くお前はいつもいつも…、」
「だって、折角新しいワンピース買ったから、弦一郎に見てほしくて…」
「そもそも俺はがどんな服を着ていてもだな…、その、…」
「なあに?」
「綺麗だと思うぞ」



不意をつかれて、わたしの顔はみるみる真っ赤になった。
わたしは無償に照れたことが恥ずかしくなって、唇を尖らせて足を思い切り伸ばした。
短めのワンピース裾から、太ももが丸見えになる。
さすがにそれは恥ずかしかったけど、開き直ってそのままにしておいた。

弦一郎のほうをチラッと盗み見してみると、耳まで真っ赤になっていた。
そして、眉間のしわはみるみるうちに深く刻まれていった。
全く…怒るか照れるか、どっちかにして欲しいよ。

挑発的な目で弦一郎を見ると、ムッとした表情が返ってきた。
少し肌寒いけど、上に羽織っていたカーディガンを脱ぎ、弦一郎の正面に座る。
そしてそのままガバッと抱きついた。



「な、!」
「興奮した?ちょっとムンムンした?」
「そう言うことを、女が言うものでは無いであろう!」
「なんで〜?あっ!図星、…とか?」
「俺の言っていることがわからん様だな」
「やだ!弦一郎ってば、エッチ!」
、お仕置きが必要だ」



「え、」と言葉を発した瞬間、頭を掴まれ、思い切り口付けられた。
何度も重なる唇。そして、だんだんと深くなっていく口付け。
わたしも弦一郎の首に手を回して、たくさんキスをねだった。
そしてそのまま、胡坐をかいている弦一郎の足の間に座り込み、体を弦一郎に預けた。



( ああ、貴方はそばにいる。 )